「春流草紙」 回想 2/22〜26まで開催中 @神田•高架画廊
神田・高架画廊で開催中の卯月沙梨音さん、晴川穂浪さんの二人展「春流草紙」へ伺いました
《夏目漱石の文学を五感で味わう》をテーマに「永日小品」,「夢十夜」の作品の世界観を写真作品とオリジナルの逸品で表現した展示会です
夏目漱石は江戸末期に生まれ、明治、大正を生きた文豪です
有名な大作の他に、数多くの俳句や短編集も残しています
今回はその中の短編集「永日小品」、「夢十夜」を主題に作品の世界観をより深く多層的に楽しめる空間になっています
漱石の世界観を表現する写真は卯月沙梨音さんの作品
沙梨音さんの写真を観ていると"墨五彩"という言葉が浮かびます
※正しくは「墨に五彩あり」という古い言葉
影や闇のグラデーションに手ざわりやその場の温度、音を感じます
眺めていると初見では見えなかったイメージを発見したり、象徴的な人物の別の面を想像したり...
作品に対する情熱が一枚一枚に宿っていて、対象に向き合う真摯な姿勢が感じられます
切り取る構図を練り、支持体選びから表層のテクスチャー、展示空間の演出方法に至るまで強いこだわりを持って制作されています
今回の企画・モデル・着付けの晴川穂浪さんは長年の友人でもあり、その仕事からは"神は細部に宿る"という言葉を思い出します
幼少からお着物に触れ、日本舞踊で培われた美しい所作、イメージに合わせて組まれたお着物と小物たち、そして漱石の作品とその時代に対する深い造詣が展示空間全体に風格と奥行きを与えています
会場で販売されているこだわりの逸品たちも沙梨音さんと協同で制作されています
「春流草紙」オリジナルの三味線CD、アロマソルト、ハーブティー、豆本、半襟,「春流草紙」冊子等、漱石の作品から派生した多彩な商品が並びます
漱石作品に対する繊細且つ斬新な考察、紡がれた言葉を大切にする思い、幻想的で独特な世界観を様々な切り口で観せようという意欲的な姿勢などが、お二人に共通しているように感じられます
※今回の展示ならではの漱石作品の解説、作品と構成、インスタレーションは実際の会場にて確かめていただきたいので、詳細はあえて控えめに書きました
写真から情景を受け取り、音から連想し、香りを味わうことで、改めて漱石の作品世界を体験する展示会
漱石の作品がお好きな方や近代文学にご興味のある方はもちろん、漱石の作品に詳しくない方も楽しめる、そんな素敵な展示会です
この機会にぜひお出かけください
沙梨音さんの作品のネガフィルム
ルーペで覗くとまた別の世界が広がります
「売り払った懸物が気にかかるから、もう一遍見せて貰いに行ったら、四畳半の茶座敷にひっそりと懸かっていて、その前には透き徹るような臘梅が活けてあったのだそうだ。」
「懸物」〜「永日小品」より〜
「春流草紙」
晴川穂浪×卯月沙梨音二人展
会期:2/22(火)〜26(土) ※最終日18時まで
於:神田 高架画廊
入場料:¥1000
JR神田駅東口からふれあい通り徒歩3分
JR秋葉原駅より徒歩7分
都営新宿線岩本町駅より徒歩4分
東京メトロ銀座線神田駅3出口より徒歩2分
※展示会詳細は下記をご覧ください
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