観劇「未開の議場2023」@王子 北とぴあ ペガサスホール
「未開の議場2023」を観劇しました
※以下感想です(ネタバレを含みます)
[煮詰まる]・・・意味:①煮物などでだんだん
と煮汁が少なくなっ
ていく事を言う言葉
②比喩的に話合いなど
で意見が十分に交わ
されて,結論を出す段
階になるという意味
でも用いられる
例:「議論がー煮詰ま
るー」
cf.「広辞苑 第6版」(平成20年 岩波書店)
会場は,中央に会議室のテーブルが組まれ,12脚の椅子があり,奥のホワイトボード前の席で,開演前から女性がひとりで鍋料理を煮ています
それを囲むように階段状に客席が組まれ,議場を見下ろすように観客が座ります
冒頭,登場人物1人1人の自己紹介と服装の説明,そして舞台の大きさや物の配置の説明もありました
今作はハンディキャップのある方にも楽しめるようにとの工夫があちこちに散りばめられています
(アクセシビリティ対応型演劇というそうです)
職種も立場も様々な商店街の若手が集まって青年部主催の「萩島フェスタ」なるお祭りのための定例会議が始まります
それから,正論,暴論が錯綜して...
歴史も宗教も文化も異なる架空の国の移民と日本人との軋轢,埋まらない溝,過去の事件とその遺恨...
否応無くそこに存在する隣人との関係にどう向き合い,受け入れるのか,または,受け入れないのか...
13人の登場人物のどの人にも感情移入できてしまい,赤くなったり,青くなったり,コミカルだったり,シリアスだったり...
感情が忙しく揺さぶられるエピソードがテンポ良く繋がっていく中,鍋も議論もどんどん煮詰まっていきます
一番の博愛主義者が一番不寛容だったりするあたりがリアルでした
それぞれがその人らしいまま和平に至る道は存在するのか...?
他人事ではない
終始議論に参加しているような感覚で鑑賞しました
※詳細は↓をご参照ください
過去の自分も見つけました...
議長って,鬱で貞子状態になったり,躁でおかしなスキップしたくなったりするんですよね
(遠い目)
あの時,劇中のあの人みたいに「うん,それでいいと思うよ」って言ってあげてたら,何か違ったのかな...と思ったり...
今,世界のあちこちで起こっている分断と悲惨な衝突のことを思ったり...
《汝の隣人を愛せよ》
それは厳しい現実の前には建前で欺瞞で,あまりに理想主義的で,それでも聖書を伝えた人達のわずかな希望だったのかもしれない
鍋は最後まで日本人には食べられず,トメニア人に食されて終幕
所詮は日本人同士の議論=コップの中の嵐だった...のかな?
今作はコロナ禍の影響でオンライン配信されて,2年越しに劇場での上演がかなった作品です
なので,軽々しく再演希望とは言えませんが,
もし,再演されることがあれば,次はしっかりとお腹を満たして,贅沢だけど目を閉じても体験してみたい...
とにかく色んな人に観て欲しい,そして感想を語り合いたい作品です
脚本の素晴らしさ,俳優さん達の確かな演技力,構成,演出の見事さ!!
楽しいと言えるほど軽くは無い
けれど,まちがいなく面白い!!!
あっという間の2時間5分でした(語彙力限界)
未開の議場2023公式HPはこちら↓
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